奈良県生駒市でピアノ教室を開講していますが、すでに教室は卒業した生徒たちが「学校でピアノ伴奏をすることになったから見てほしい」と来てくれます。ちょっとうれしい。
特にコロナ禍、充分なレッスンもできず、教室を卒業すると聞いてから あれもこれもと詰め込んで送り出した生徒たち。もちろん学校行事(音楽会・合唱コンクール・卒業式)での合唱の経験も乏しい。これを機会に広く音楽について伝えたいこともいっぱい。この場を借りて整理してみました。
合唱の伴奏《課題と練習法》
楽譜をじっくり読む【譜読】
知っている曲でも知らない曲でも1から楽譜をみてください。何調なのか、何拍子?、リズムも自分で正確に。最低限の音符の情報が読み取れたら、ここからが本当の意味での読譜です。楽譜には速度、強弱、演奏の仕方に関する記号や用語が沢山書かれています。これらにもすべて目を通し、どういう意味なのか?どのように演奏するのか考えて練習してほしい。
拍を丁寧に感じながら
まずは、拍子を確認し、例えば4分の4拍子なら1,2,3,4,1,2,3,4、と拍子をしっかりと感じながら練習する。1拍目にはアクセントをつけて少し意識すると思うのですが、実は4拍目は次の1拍目のために準備するとっても大切な拍なのです。
1に少しアクセントをつけて意識する2,3,もしっかりと等間隔に刻み、4は次の1のために丁寧に拍を刻み、次の1に大切に拍を届けるといった感じでしょうか(言葉で伝えるのは難しい)
でもこうして丁寧に楽譜を読んで練習してみてください。最初はインテンポで。インテンポでしっかり、長い音符も、短い休符も正しく理解したうえで練習。出来たら速度記号や、用語も理解⇒練習。
歌のパートの再確認
歌のパートも同じように拍を刻みながら再確認。等間隔に正しく拍を取り正しく拍を刻み、1に少しアクセントをつけて意識。最後の拍は次の1のために丁寧に拍を刻み、次の1に大切に拍を届けるといった感じを大切に。
正確にメロディーを理解できるようになったらまた練習。
指使い【運指】
教室で練習してきた楽譜と違い、指使いの番号がない楽譜がほとんどだと思います。行きあたりばったりで弾くのではなく、最初にどの指で弾くのかよく考えてみましょう。
目の前の音符をとりあえず弾くのではなく、レガートで弾かなければならないフレーズや、続く和音の運指は今まで練習してきた曲などの運指も思い出し、よく考えてどの指で弾くのかを考えてから練習。
ペダリング
伴奏を引き受けるということはペダルを使った演奏も経験があるとは思うのですが、ここで最低限の復習。
ここでは右足で踏むペダルについて。
ペダルを使う基本的な動作は、右足のかかとはペダル前の床につけ、足の指の付け根より少し奥でペダルを踏む準備をします。力を抜いて足を置いただけではこのペダルは沈みません。そっと踏んでみる。下まで踏んだらそのままペダルから足は放さず、ペダルを踏んでいる足の力を抜きます。するとペダルは足をのせたまま戻ります。この動作が確実にできるようにします。
ペダルを踏む、離すのタイミングは初歩は2つ。音を弾くのと同時ペダルを踏むか、少しあとに踏む。または音を切るのと同時にペダルを離すか次の音を弾くときに離すか。これらを組み合わせてより豊かな響きを作り出します。
実はこの後者のペダリング(レガートペダルとかシンコペーテッドペダルとか言われています)をマスターしてほしいのです。
「そんなペダルの踏み方したことない」という人はちょっと頑張ってみましょう。
この場では長くなるので少し乱暴な説明しかできませんが
まずは左手の簡単な和音が続いているようなところで、音に少し遅れて踏む→次の音を出すタイミングで離しすぐ踏む
どうですか?響きは濁らず滑らかに音色は豊かになりましたか?
前奏や間奏、後奏などのメロディーを美しく歌わせたい所でも、音をよく聞きながら取り入れてみてください。
特に学校行事での伴奏注意点
他の人とのコミュニケーション
指揮者がいるのかいないのか
指揮者がいればもちろん指揮のとおりに。いない場合は貴方は指揮者の代わりもしなければなりません。
特にテンポ。速さが変わるところでは、あなたは歌う人たちがうまく歌えるよう先回りをして導いてあげなければなりません。
特に速度をあらわす用語を見落とさず、せめて用語の記述の4小節前くらいからどのように速度を変えていくのがよいか考えて練習しましょう。
歌声にも耳を傾け、あなたらしく演奏する
歌声は息から生まれます。
「さんはい」の「はい」で息を吸い次のタイミングで歌いだします。このブレスを考えてあげましょう。決して遅くする必要はありません。正しく拍を刻んでいれば、この中で必ずタイミングが合ってきます。
トラブルを想定し準備する
ここでは、あるあるハプニングへの対策です。
1.鍵盤の位置を確認
必ず鍵盤の位置確認をする。
グランドピアノや学校行事での伴奏に慣れていないとたまに起こります。1オクターブ違うところから弾いてしまうことが…まさか…と思いますが結構あります。
対策は簡単。練習の時から必ず鍵盤の位置の確認、椅子の位置や高さに注意する。これだけです。無意識にしていることが本番の緊張の中で混乱してしまうのを防ぎます。
2.楽譜の準備
楽譜を見るのであれば、譜めくりなどのタイミングの確認。空調などで飛んでしまったり、照明で見えなかったりしないように注意しましょう。
まとめ
音楽を言葉で説明するのは難しい。
せっかくのチャンスです。
譜読から始まり運指にペダリングと自分でコツコツ考えなければならないこともたくさんあります。クラスメイトの声とともに素敵な演奏になるようにチャレンジしてみましょう。